無歯顎治療の最大の問題は上顎義歯が落下すること、そして次は下顎の総義歯が口から飛び出すことです。これらの問題を解決するには、まず正しい咬合採得ができていなければなりません。この仕事がきちんとできれば、上下義歯が咬んだ力が顎堤に正しく圧接され、口腔粘膜による全周封鎖が達成された下顎総義歯の吸着テクニックが大きく活かされる場に変わります。今回は、ベーシックな下顎総義歯の吸着メカニズムと製作の要点と、臨床実践をお話しして、明日からの皆様の臨床のお役に立ちたいと思います。
日本の下顎総義歯.吸着のインストラクターは、これまで、全て男性の歯科医師で構成されてきました。しかし、外国でセミナーや講演を繰り返している間に、女性のインストラクターが徐々に増加し、私も、“日本でも優れた女性インストラクターがいても良いはずだ”と考えるようになりました。今回、大滝絵梨花先生が日本で初の女性吸着義歯のインストラクターに任命され、今後の活躍が期待される人物です。現在、日本における女性歯科医師数の増加に伴い、特にあまり女性に興味を示されなかった義歯の分野が、高齢化社会の発展とともに注目され始めました。この動きをさらに活性化させるためには、年齢の若い、元気で、威力のある新たな起爆剤となる歯科医師が必要です。それが大滝先生です。私の補綴治療の根底にあるものは、“術者も患者も治療結果に満足”というものであり、その中の一つが下顎総義歯の吸着技術です。印象、そして最終義歯のセット時に義歯が吸着することで自分の仕事の成功を確認できる点が、今までの義歯作製にはない特徴です。大滝先生は日本で開催された私の講演やハンズオンコースのみならず、スペイン、韓国、そしてアメリカにも一緒に行き、世界における吸着義歯の技術の繁栄を目の当たりにしている先生です。世界の吸着義歯の患者人気の向上とともに、学んだ歯科医院における新患の増加、そして、最終的には所得が倍増するデンチャリストの出現もたくさん見てきました。新しい年代の女性のおける総義歯治療を皆さんが受講することで、今後の発展が期待されるデジタル義歯の将来も大きく変化することでしょう。ぜひ、楽しみに、ご参加ください。